牛乳アレルギーの原因は妊娠中に牛乳をたくさん飲んだから?
子どもが牛乳アレルギーになってしまった。
「お母さんが妊娠中に牛乳を飲みすぎたからだよ。」
そんな一言で責任を感じてしまってはいませんか。
お母さん、自分を責めてはいませんか。でも考えてみてください。
毎日お米は食べますよね?毎日お水を飲んでいますよ?
お子さんは米アレルギーや水アレルギーになりましたか。
- 妊娠中に牛乳を飲むと子どもがアレルギーになるのか
- 妊娠中に牛乳を飲むことのメリット・デメリット
を薬剤師の私がご紹介します。
結論から言うとつまり妊娠中に毎日牛乳を飲むことで、赤ちゃんが牛乳アレルギーになることはありません。
もし責任を感じているお母さんがいるのであれば、是非読んでください。
そんな時こそ!家事も育児もほどほどに!
手抜きだって良いんだよ!子どもの牛乳アレルギーの原因は妊娠中に牛乳を飲んだから?
あえて強い口調で言わせてください。
ちょっ待てよ!!
牛乳アレルギーに限らず、子どもにアレルギーが出ると、その原因は妊娠中に〇〇を食べすぎたから、と言われたという話はよく聞きます。
特にお姑さんやお舅さんにあたる世代がよく言ってしまうようです。
子どもが風邪をひいてしまった時でさえ自分を責めてしまうお母さんは少なくないでしょう。
そこに、妊娠中の行動を責められると…察するに余りあります。
お母さん、大丈夫ですよ。
妊娠中に〇〇を食べすぎたから子供がそのアレルギーになる、という話は証拠に乏しい話なのです。妊娠中に牛乳を飲んでもいいのか
たしかに、以前は特定の物質を摂取し過ぎるとそのアレルギーになってしまう、という研究報告もなされていました。
でも今は母体の健康を考えると、妊娠中にアレルゲンとなる食事を食べないという選択に危険性を訴えています。
食物アレルギーの発症予防のため、妊娠中や授乳中に母親が特定の食物を除去することは、効果が否定されている上に母親の栄養状態に対して有害であり、推奨されない。
アレルギー予防のために妊娠中に特定の食べ物を食べないことは、アレルギー予防になりません。
しかもお母さんの健康状態に有害なのでおすすめしないということがはっきりと書かれています。
ガイドラインとは、治療や診察を行う上で基本となる骨組みのことです。
どんな病気でも、ガイドラインに沿って治療が行われます。
つまり「食物アレルギー診療ガイドライン2016」はお医者さんが治療をするうえで基本にしているということです。
そのガイドラインで妊娠中や授乳中に特定の食品を除去することを否定しているのです。
さらに翌年「食物アレルギー診療の手引き2017」では
食物アレルギーの発症予防のために妊娠中と授乳中の母親の食物除去を行うことを推奨しない。食物除去は母体と児に対して有害な栄養障害を来す恐れがある。
とも明記されました。
つまり、
妊娠中に牛乳を飲みすぎたから子どもがアレルギーになるわけではないのです。
むしろお母さんの健康を考えてちゃんと飲みましょう、ということなんですね。
だからお母さん、悩まなくて大丈夫!
もしかしたら妊娠中に牛乳を飲みすぎた自分を責めているかもしれません。
でもお子さんの牛乳アレルギーはお母さんが妊娠中に牛乳を飲みすぎたからではないんですよ。
妊娠中はバランスの良い食事を!牛乳も適量を飲みましょう!!
私も2児を育てる母親です。
妊娠中から授乳、そして今でも悩みは尽きることはありません。
薬剤師として栄養学や医学を学び、食べ物や栄養の吸収やエネルギーとしての代謝の過程の勉強をした私ですら、牛乳飲んでも大丈夫かな、卵は食べても大丈夫かな、ととても心配した時期がありました。
ですが、そんなストレスこそお母さんにも子どもにも負担なのです。
妊娠中や産後はただでさえ疲れやすく、ストレスもたまりやすい時期です。
ストレスは血管を収縮させ、血の巡りを悪くしてしまいます。
牛乳を飲んで、子どもがアレルギーになるという明確な論拠はありません。
それをプレッシャーに感じ過ぎないようにしてください。
少しでも快適なマタニティライフや育児生活を送りましょう。
妊娠中に牛乳を飲むメリット
- 妊婦さんに必要不可欠なカルシウムを摂取できる
- つわり中に飲むと胃を保護し、栄養摂取もできる
牛乳は妊婦さんに必要不可欠なカルシウムを摂取できる
牛乳は価格も安定しおり、妊婦や授乳婦のお母さんにとってうれしい栄養がたくさん詰まった飲み物です。
牛乳はカルシウムが豊富、という話は聞いたことがある方も多いと思います。
カルシウムは体内で作り出すことのできない成分です。
新生児の身体には約 28〜30 g のカルシウムが含まれており、この大半は妊娠後期に母体から供給され、蓄積される
カルシウム摂取量が不足している女性(500 mg/日未満)では、母体と胎児における骨の需要に対応するために付加が必要である可能性も報告されている
しかし政府が定めている通り胎児には欠かせない栄養成分ですもあります
日本人が1日に摂取するべき食事の量を政府がだしています。
18歳から29歳の女性の1日で摂取すべきカルシウムの量は165mgです。
30歳から49歳の女性の1日に摂取すべきカルシウムの量は138mgです。
普通牛乳100g中に含まれるカルシウムの量は110mgなので、妊娠中に飲むべき牛乳の摂取量は200mlと推奨されています。
牛乳を悪阻中に摂取すると体に優しい
牛乳は胃を保護してくれるため、悪阻でお肉やお魚が食べられない人にもおすすめです。
また、牛乳には炭水化物も含まれているため、お米の匂いがだめになってしまったというお母さんにもおすすめです。
悪阻でつらくて、無理にでも食べないと、と思っているお母さんは牛乳もぜひ試してみてくださいね。
妊娠中に牛乳を飲むデメリット
- 牛乳を飲みすぎると太ってしまう
- 太ってしまうと血圧があがりやすくなる
妊娠中に牛乳を飲みすぎると太ってしまう
しかし、牛乳は栄養も豊富ですが、糖質やカロリーも高いためあまり飲みすぎると太ってしまいます。
体重管理で体重を指摘されたり、お母さん自身に牛乳アレルギーがある場合は飲みすぎない、飲まないようにしましょう。
お母さんがあまりに体重が増えてしまうと、妊娠・出産自体がハイリスクとなってしまいます。
太りすぎにより産道に脂肪がつきすぎると、出産時に時間がかかってしまうことや帝王切開の可能性もあります。
太ってしまうと血圧があがりやすくなる
また、妊娠中は高血圧にもなりやすく、そこで太ってしまうとより血圧があがりやすい状況になってしまいます。
血圧があがると出産時の脳出血などの可能性も出てきてしまいます。
妊婦検診で体重管理について医師に厳しく言われると、「妊娠しているっていうだけでもえきついんだから怒らないでよ」と思ってしまうかもしれません。
私も思っていました。
ですが厳しく言われる理由があるのですね。
お母さんの体が無事で赤ちゃんが元気に生まれることが妊娠出産で一番大事なことだからです。
何事もバランスが大事です。
特定の食べ物を避け過ぎず、特定の食べ物だけを食べ過ぎずは妊娠中の体にいいとは言えません。
我慢をしすぎることはあなたの体にとって不健康なことです。だからたまには自分を甘やかしながら過ごしましょう。
何よりも大事なのは、心と体のバランスです。
まとめ
子どもの牛乳アレルギーは、妊娠中にお母さんが牛乳を飲みすぎたから、という噂は全くの誤解です。今ではその説は否定され、
特定の食べ物を避けることは、お母さんにも子どもにも良くない、という説が通説になっています。
子どものアレルギーは誰のせいでもありません。
お母さんが心と体のバランスを取りながら、食事もバランスよく食べることが何よりも大事なことです。
子どものアレルギーは自分のせい、と悩むお母さんへ言いたいことがあります。
それだけ子どものことを考えられるお母さんです。
大丈夫です。アレルギーは誰のせいでもありません。
お母さんと、赤ちゃんが元気に出産を迎えられることを祈っています。