アトピーとアレルギーの違いとは?アトピーを予防はアレルギーの予防
うちの子アトピーなんだよね。
うちの子アレルギーがあってさ…。
あれ???
そんな会話をしたことはありませんか?
ちょっと待って、うちの子ってアトピー?アレルギー?
そもそもアトピーとアレルギーって同じ?違う?
今更そんなこと聞けない!
そう思っているお母さんも多いのではないでしょうか。
たぶんとても多いと思います。
ではでは、ここで説明していきましょう。
アレルギーとは何か
そもそも、アレルギーとはなんなのでしょうか。
痒いやつだよね?花粉症だよね?
そうです。それもアレルギーの1つです。
では、アレルギーについて説明していきましょう。
アレルギーはなぜ起こるの?
アレルギーが起こる原因は、免疫の過剰反応です。通常、免疫という言葉を聞くと「風邪を引いたときに体の中の細胞がウイルスをやっつけてくれる反応だよね?」と思い浮かべる人も多いと思います。
一言に免疫と言っても、体内の免疫の役割はウイルスを退治するだけではないのです。
通常、ウイルスや細菌のような異物が体の中に入ってくると、「抗体」と呼ばれる物質が作られます。
- 異物を攻撃する
- 他の細胞が異物を攻撃できるよう目印になる
一方で、ウイルスや細菌のような物質のことを「抗原」と呼びます。
ウイルスや細菌はたしかに私たちの体にとって有害なものです。
しかし、アレルギーは、食物や花粉のような体に害のないものも有害な物質と判断され、食物や花粉、薬物を抗原として認識してしまうのです。
そうすると、全然体にとって悪くないはずの物質を、抗体たちが敵だと認識し、「攻撃開始!!みんな戦うぞー!」と臨戦態勢に入ってしまうんです。
アレルゲンと呼ばれる物質が、抗原になりうるのです。
アレルギーが起きる時に作られる抗体はIgE抗体と呼ばれます。
このIgE抗体が毛マスト細胞という細胞にくっついて待機している時に、2度目、3度目のアレルゲンの侵入が起きると、
「また敵が来た!」と抗体が認識し、マスト細胞に「敵が来たぞ!戦え!」と指令を送ります。
そしてなんとここでかゆみの成分を出してしまうのです。
戦うんじゃないんかーい!
こうして免疫のエラーが起きてしまうと、アレルギーとして発症してしまいます。
アレルギーの分類
一言にアレルギーと言っても、アレルギーの起こり方にも複数の種類があります。
そして、その型によって症状や関係してくる細胞も違うんですね。
Ⅰ型
いわゆる、アナフィラキシーショックと呼ばれるアレルギーはⅠ型アレルギーと呼ばれます。
IgE抗体が関係しており、アナフィラキシーショックの他、気管支喘息や蕁麻疹、そしてアトピー性皮膚炎もここに当てはまります。
Ⅱ型
Ⅱ型アレルギーは、Ⅰ型アレルギーと違い自分の細胞を敵と認識してしまうアレルギー反応です。
IgG抗体と呼ばれる抗体等が関わっており、橋本病やバセドウ病が当てはまります。
Ⅲ型
Ⅲ型アレルギーは少し複雑でIgG抗体やIgM抗体と抗原がくっついて免疫複合体と呼ばれる物質になります。
その免疫複合体をめがけて体の細胞が攻撃を開始してしまい、組織を傷つけてしまいます。
関節リウマチはⅢ型アレルギーに当てはまります。
Ⅳ型
Ⅳ型アレルギーでは抗体が関わってこないのです。
じゃあ誰が関わるのかというと、
T細胞やマクロファージといった細胞達が関わってくるのです。
代表的なものにツベルクリン反応や移植拒絶反応が当てはまりますが、アトピー性皮膚炎はなんとここにもあてはまってしまうのです。
アトピーってなんだっけ?
そもそもアトピーってなんでしたっけ?
アトピーとは
アトピーとは、皮膚のバリア機能が低下したことによって起きてしまうことが原因で起きる、慢性の病気のことです。
カサカサの皮膚に食べかすやほこり、ダニなどが付着します。
それが刺激となってかゆみの元となる成分が体の中を駆け巡り、かゆみとなって出てしまいます。
アトピーは「atopy」と表記されるのですが、これはギリシャ語の「atopia」からきており、「奇妙」や「分類しようがない」ということを意味しています。
そのくらい、まだまだ十分に解明されていない病気でもあります。
元々敏感肌や乾燥肌の人に、ダニやほこりのようなアレルギーを引き起こす物質が付着することでアトピーを引き起こすこともあります。
しかし、アレルギーとは関係のないストレスや汗でもアトピーが悪化することがあります。
このように、アトピーはとても複雑な病気です。
アトピーの原因
アトピーの第一の原因は、皮膚のバリア機能の低下です。このバリア機能が低下することで、ダニや細菌などが入り込みやすくなりかゆみを強める物質が出てきてしまいます。
そして、アトピーで治療中の人はIgE抗体をたくさん持っていることがわかっています。
刺激が加わるなような物質が侵入してしまうと、このIgE抗体が過激に反応してかゆくなってしまいます。
アトピーにはこのように免疫が関わる原因もありますが、個人の乾燥肌や敏感肌、ストレスのような免疫以外のものが原因となってしまうこともあります。
ストレスなどによりアドレナリンが分泌されると、その時にかゆみの成分も一緒に放出され、アトピーのかゆみとなって現れる場合があります。
これには免疫は関係していないのです。
アトピーの原因は、免疫が関係しているものと、関係していないものがあるんですね。アトピーとアレルギーの違いは免疫だけが関係するか、免疫以外のものも関係するか
アトピーとアレルギーは違う病気ではありますが、区別が難しいものです。
アトピーとアレルギーの違いは、
アレルギーは免役が過剰に反応します。
一方アトピーは免役も関係しますが、汗のような免疫以外のものも関係してくる場合があるということです。
アトピーの免疫が関係する原因には、食物やハウスダウト、花粉などが挙げられます。
一方で、アトピーの免疫が関係しない原因には汗や衣類による摩擦、ひっかき傷、柔軟剤、ストレスなどがあります。
ただでさえ複雑なアトピーとアレルギーの関係なので、
自分の状態や気持ちを言葉でうまく表すことのできない赤ちゃんの診断は専門家でもとても難しいのです。
治療をする上での見極めが大事なので、良くならないからと言ってすぐに治療をやめず、根気よく治療を続けていくことが大切です。
アトピーを予防すればアレルギーを防ぐことができます
アトピーを予防することで食物アレルギーを予防することができるかもしません。なぜなら、アトピーによって傷ついた肌を治療し、バリア機能を改善することでアレルゲンが侵入しづらくなるからです。
それによって免疫のエラーそのものがおこらなくなってくるんですね。
最近の研究では、アトピーによって傷ついた肌を治療し、バリア機能を高めると食物アレルギーを予防することができるかもしれないということがわかってきました。
新生児期からの保湿剤塗布によりアトピー性皮膚炎の発症リスクが3割以上低下することが分かりました。
皮膚のバリア機能が障害された状態で、早期に十分な対応がなされず皮疹の改善が遅れると、食物アレルゲンの皮膚感作が進行します。スキンケアを徹底して行い、皮膚バリア機能を改善し、新たな皮膚感作を起こさないようにしましょう。
つるつるのぷるぷるの肌にすることで、アレルゲンが入ってきてしまうのを防いでしまえば、アレルギーが起きないという考え方ですね!!
アトピーによって傷ついた肌を、根気よく治療しましょう。
今は強いステロイドを使っているかもしれません。
ステロイド薬を使用している場合は、
- ステロイドをどんどん弱いものに下げていき
- 塗る回数を減らし
- そして保湿剤だけでコントロールできるようになるのが目標です。
長い道のりかもしれません。
しかし、アトピーを治療・予防することで、アレルギーすらも予防・治療することができるかもしれないのです!!
今、私には二人の子供がいます。
生後1か月の時点で、二人とも乳児湿疹なのか、アトピーなのか判別がつかない湿疹が出てきました。
薬剤師としてアトピーの患者さんを何度も目にしたことのある私でも判別がつかず、すぐに病院に連れて行きました。
そこで言われたのは、「小さすぎて、まだアトピー、乳児湿疹の区別がつけられない」という診断でした。
皮膚科でも診断がつかなかったのです。
ですが、そこでさらに、「離乳食開始前に、肌をきちんと整えておけばアレルギーの予防にもなるから、小さいけれど治療は始めよう」とも言われました。
そのおかげか真っ赤に腫れていた子供の顔は、5か月ごろには落ち着き、
離乳食を開始してから今に至るまで、食物アレルギーも現れませんでした。
生後1か月から5か月まで、毎月1週間や2週間起きに受診し、毎日最低3回の保湿をする。
決して楽だったとは思いません。
しかし、私の色黒こそ引き継いでしまったものの、2人とも肌奇麗だね、と言われるくらいにはアトピー自体も改善しました。
まとめ
アトピーとアレルギーは、別々の病気です。
しかし、重なる部分もあるという複雑な関係にあります。
アトピーは体の免疫が関係する場合と、関係しない場合があるのに対しアレルギーは免役が関係しています。この重なった部分こそが、アトピーなのか、アレルギーなのかの区別を難しくしてしまっています。
アトピーやアレルギーという病気は、専門の医師でも判断が難しいのです。
治療を受けている本人や、ご家族はもっとつらく、どうにかしたい、どうにかしてあげたい、という気持ちでいっぱいだと思います。
少しずつではありますが、アトピーやアレルギーは治すことのできる病気になってきています。
2つの病気は似て非なるものですが、アトピーの治療をしっかりと行うことで、アレルギーの治療や予防にも繋がります。
専門の皮膚科や、小児科に相談しながら、一緒に治療していきましょう!!